hachimitsu

あまくて少しにがい日々

2021年3月27日 快晴

浅草で行われた「すーぱーレトロEXPO」に行ってきた。いわゆる即売会に参加するのは中学生以来、人生で2回目。昭和や平成初期当時のコレクション、どこか懐かしさを思わせるハンドメイド・グッズ、小冊子や曲など……。回るだけでくらくらするような空間だった。色々買おうと思っていたのだが、なぜか実物を見ると食指が動くものは少ない。来場者は9割方女性で、ほとんどの人が昔のサンリオ・グッズを漁っている。サンリオも好きだが、今欲しいものはそれではない。もっと、昔叔父の部屋に遊びに行ったときに見たような、昭和当時を感じさせるようなものは無いのか……。

どうしたものかと彷徨っていると、物静かそうな男性が「ハルキになる3つの方法」という本を売っているのが目に入った。本を立ち読みしている最中に声を掛けられるのはなかなかに苦手なのだが、この人はとにかく無口で良かった。内容も思わず笑ってしまうもので、迷わずに購入した。良い買い物ができた。

なお、この日一番に探していたものは「レトロ感を思わせる灰皿」だった。中野ブロードウェイに店を開いているという、なんだかコミカルな男性と女性がいるスペースにて運命の出会いを果たす。素朴な顔をしたオスとメスのネコが描かれ、その下にはローマ字で「WATASHITACHI ITUMO HUTARIDE SANPO SITEIRUNDESUYO!」と記されている。たどたどしくローマ字を読んだあと、「そうですか」と思わず口にする。こちらも迷わず購入、300円。いずれ中野ブロードウェイの店にも行ってみたい(この後、店主が「なぜかくもりが3つもあって雨がないお天気スタンプ」の写真を上げていて妙に興奮してしまった)。

この日の目的の最後、「ここまで再現できる人がいるのか」と思うくらい完璧な聖子ちゃんカットをした女性のスペース。この人に似顔絵を描いてもらいたい、と密かに思っていた。昭和を思わせるポップな絵柄で描かれた女の子たちのグッズに囲まれる女性はとにかく可憐で、声をかけるまでにすこぶる緊張した。そもそも似顔絵を描いてもらうという行為はなんだか気恥ずかしいものがある。描いてもらっている間もずっと下を見てしまい、「一瞬こっちを見てください」と言われ女性の顔を見たが、あまりにも綺麗なのですぐに逸らしてしまった。童貞か?絵が完成していく工程は見事なもので、ものの10分で三等身のフルカラーを仕上げてしまった。絵の描き方すら可憐で思わず見惚れていた。似顔絵とは難しいもので、特徴を捉えないと似ないし、かつある程度美化しないとなんだか満足のいく仕上がりにならない。その人の特徴を自分の絵柄に落とし込み、「デフォルメ」するのは至難の業である。それは人生で似顔絵を描いてもらった中で一番お気に入りの作品となった。緊張が勝り、女性にお礼を言いつつ逃げるように去ってしまったのが唯一の心残りである……。

その後は大のお気に入りである神谷バーへ向かった。初めて訪れたときに電気ブランに衝撃を受け、600円のボトルを買って帰ったのだが、家で飲む電気ブランはそこまで美味しくない。あのビアホールのような雰囲気が美味しくさせるのだろうか?わたしの一番のお気に入りはポーク・カツレツ。浅草は街並みの雰囲気も好きだし、神谷バーの他にも行ってみたいお店がたくさんあるし(しかしどこも入るのに緊張してしまうような店ばかり、経験値が足りない)わたしの中で上位に入る東京の好きな街だ。

f:id:ll_momo_ll:20210328181535j:plain

f:id:ll_momo_ll:20210328181538j:plain