hachimitsu

あまくて少しにがい日々

2021年3月31日 快晴

どうしたものか好きな人にさんざん人見知りしてしまって、食事も喉を通らないし今までどんな風に喋っていたかわからないしでほとほと困ってしまった。大量に作ったポテトサラダ・鶏のからあげ・ミニトマトのマリネはあっという間に彼の胃袋に吸い込まれていった。わたしには欲望をコントロールするキャパシティが1つしか無いのだと思う。

翌朝、鮭の塩焼・ポテトサラダ・ほうれん草とあぶらあげとたまごの味噌汁を二人で食べた。彼の膝枕(固くて心地よかった)の上で見た3分クッキングでやっていた鯖と玉ねぎのサラダを今度作ってみたい。下北沢の古着屋で1200円で買ったお気に入りのワンピースを彼にお披露目できる日がようやくやってきた。予想の10倍くらい喜んでくれてとても嬉しかった。

家から徒歩20分ほどの公園に歩いて向かった。彼はとにかく寄り道をしたがる人で、通り道のコンビニにはほとんど寄ったと思う。こういう時間をあえて送る人に初めて出会った。普段は忙しないはずの時間がなんだか今日はゆっくり過ぎているように感じた。二人で良い風景をたくさん見つけた。桜のたくさん咲く川辺、宮崎駿が住んでいそうな家、鮮やかな黄緑が眩しい木々の下……。彼とじゃなきゃ見つけられないものばかりだった。

昼間の公園というものはなによりも尊い。普段、仕事や育児でさまざまな問題を抱えているはずの人々が、一様にして笑っている。こんなにも穏やかなざわめきを感じることのできる空間は他にない。きっと天国はこういう場所だと思っていたら、彼も全く同じことを言うものだから、嬉しすぎて参ってしまった。

一緒にお酒をたくさん飲んだ。わたしが食べたいと言った焼きそばとたこ焼きを買ってきてくれて、向かい合わせになっていた備え付けの椅子を隣に持ってきてくれて嬉しかった。夕方が来たら彼は帰ってしまうと思っていたから、隣町のわたしのお気に入りの居酒屋の話をして、彼がそこに行ってみようと誘ってくれて嬉しかった。当の居酒屋は閉まっていて入れなかった(あとで調べたら4月5日まで改装中だった)けれど、ずっと気になっていたお店も良い雰囲気だった。ビールを飲みながら公園でサニーデイ・サービスを聴いた。こんな時間がずっと続いてほしいという願いと、あまりにも大きな幸せを処理できないことがひたすらもどかしくて涙が止まらなくて、それに困ったように笑う彼の顔を見るとますます涙が止まらなかった。自分がこんなにも狂ってしまうなんて思わなかった。ずっと一緒にいてほしいと心から願った。

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