hachimitsu

あまくて少しにがい日々

2021年4月11日 晴

多忙に追われる日々、記憶にも無いので割愛。

辞書が欲しくなり、駅前の本屋に下見しに行ったところ、まさかの閉店していたことが発覚。結局そこで本を買ったのは昨年10月、中也の詩集が最初で最後となってしまった。世の中の諸行無常に打ちひしがれる。とは言えいつまでも悲しみに明け暮れるわけにもいかないので、気を取り直して近所の古本屋へ行く。とても狭い店内で、本を探すのにはだいぶ時間をかけるタイプのわたしには少し辛い部分もあるのであまり行ったことは無かったが、ここまで潰れてしまっては立ち直れる気がしないので、応援の意味も兼ねて本を購入。村上春樹著「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」セブン・イレブンでアイスコーヒーを買い、煙草を1本だけ吸い、近所の公園のベンチに座って読む。

僕らはことばがことばであり、ことばでしかない世界に住んでいる。僕らはすべてのものごとを、何かべつの素面のものに置き換えて語り、その限定性の中で生きていくしかない。でも例外的に、ほんのわずかな幸福な瞬間に、僕らのことばはほんとうにウィスキーになることがある。

 

彼のエッセイを読むのは初めてだったが、まえがきに書かれているこの一節ですでに感嘆、買って良かったと抱きしめたくなった。中身も著書本人が世界各国でウィスキーを飲んだ感想を語る、ただそれだけのことだが、どうしてここまで魅かれるのだろうか。いい言葉に出会うたび、文章を読むこと・書くことに取り憑かれてしまう。古本屋の品ぞろえは、わたしの感性を見透かしたかのように素敵なものしか無い。とは言え応援できる範囲にも限りがあるので、気になる本を下見し、近所の図書館で読むという姑息な手段も活用しようと思う。

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