hachimitsu

あまくて少しにがい日々

2021年3月25日 曇

怠い身体を引きずるようにして職場へ向かう。なんだか冴えない日、好きな人と行く(予定の)花見に持っていく弁当の中身を考える。それでも暇なので、日記をつけることにした。退屈な日々に少しでも彩りを持たせるために。今まで何度も日記をつけたことはあったがどれもこれも三日坊主だった。きっとサボることはあるだろうけれど、気負いせずにやっていきたい。

自分の本能と理性の間に様々な欲望が介在しているのを感じる。好きな人に会いたい、友達と馬鹿な話がしたい、仙台に帰りたい、死ぬほど酒が飲みたい、結婚したい、人の作ったカレーが食べたい、安心できるもとで眠りたい……。自分の欲深さに嫌気が差す。いっそ解脱してしまえたら楽だろう(絶対無理だろうけれど)。どれもこれも、結局のところ自分の意識を変える、という一番簡単かつむずかしいことができれば解決するし、ギターを始めても結婚をしても自分が変わらなければ何も解決はしない。そんなこと分かっているはずなのに、人間は変われない生き物である。週末はジムもしくは図書館に行きたいが、気付けば早くも生理前だしきっと寝込むのであろう。

2021年3月24日 晴

好きな人と電話をして泣いた。寂しいからって泣きじゃくったり、電話を切りたくない、だなんてわがままを言う女の子じゃなかったはずなのに、自分の変化に戸惑う。出会ってまだ二ヶ月ではあるが、わたしたちは多忙の合間(わたしは全く多忙ではないが)を縫って色んな話をしている。こんなに話しているのに、未だかつてこんなに優しい声の人が居ただろうか、と声を聞くたびに思う。どんなラブソングよりも優しい声色をしている。そんなことを思い返すだけで、恋しくて嬉しくて泣いてしまうのだ。寂しい夜はこれから幾度も訪れるが、輝かしい一日のためになんとなくやり過ごしてみせようじゃないか。

2021年3月22日 曇

仕事が辛かった。帰ってから少し眠って、セブン・イレブンで買った生ハムと赤ワイン、家にあったチーズとサラミとミニトマトを食べながら、チケットを買い損ねて行けなかったライブのアーカイブを観た。3組目のアーティストが、歌も詩もギターも良いのに、声のエフェクトが気に入らなくて残念だった。機会があればまた観たいが、きっとその機会は無いと思う。色んな曲を聴きながら眠った。

2021年3月21日 雨

怠惰な雨の週末には村上春樹を読むしかないと思い、高3のときに読んでいた「羊をめぐる冒険」を久々に引っ張り出したところ、冒頭に出てくる女の子があまりにもわたしそっくりで恐怖すら覚えた。本と珈琲が生き甲斐の、世界を知るため誰とでも寝る女の子。「僕」とたまにICUへピクニックに訪れ、分かったふりをするくせに寂しがりで、「わたしのこと殺したいと思ったことある?」なんて突拍子も無いことを聞いて、二十六歳の七月に死んだ女の子。わたしはもう少し生きたいので、七月は事故に気を付ける。

2021年3月20日 曇

定期的に会っている友達と飲みに行った。友達と飲むサイゼリヤの安いワイン(もちろんディカンタ)はどうしてこんなにも美味しいのだろうか?女性のコイバナ(彼氏の愚痴が多めだったが、あえてコイバナと称する)の聞き方にはコツがいる。基本は余計なアドバイスなんて要らないが、ただ聞いてばかりもつまらない。いくら渦中の相手が目に余る言動をしていたとしても、彼を批判する=彼のことを好いている彼女のことを批判する、に繋がるので、気を付けなければならない。彼女が彼に相当な不満を抱いているとしたら話は変わってくるが……。等々はすべて所詮自己満足だろうけれど、相手がたくさん話してすっきりした顔を見せてくれたら、こちらもなんだか満足なのだ。色々話を聞いた上で、わたしはきっと向こうから一切愛情が見えない恋愛はもう出来ないなと思ったし、この状況に甘えすぎてはいけないと一層身が引き締まった。愛が報われないすべての女子に乾杯。

2021年3月19日 晴

憂鬱で仕方の無かった健康診断を終え、竹橋から歩いて御茶ノ水へ向かった。昨日まで布団からほぼ一歩も出ることなく寝込んでいたというのに、今日のわたしの足取りはなんだか軽かった。こういう日ばかりならもう少し楽に生きられると思う。椎名林檎ZAZEN BOYSを聴きながら歩く御茶ノ水は間違いなく特別だった。節制のためにコンビニのイート・インで昼ごはんを簡単に済ませる。むかし、好きな野球選手を追いかけて一人で一日がけで南三陸に行ったものの、お金が無かったために2000円超えの海鮮丼を食べることなく、90円の甘い缶コーヒーで乗り切ったことを思い出し、なんだか変わっていないなあと思う。きっと一人では御茶ノ水のカレーは楽しめないし、買いもしないギターを遠くから眺められたらそれで満足だった。